ポーカーの高速道路とけものみち

     自分の大好きなポーカーに関する戦略などを紹介



このブログについて

自分の大好きなポーカー(特にTexas Hold'em(テキサスホールデム))
というゲームに何か貢献ができないかと思い、ブログを始めました。    
ポーカーに関する戦略などを紹介していきたいと思います。         

 トーナメントの準備

 A「トーナメントに参加する際に誰もがしなければならないチェックリストのようなものがあれば便利だと思います」との指摘があったので、ざっと自分の例をまとめてみました。
 更にブラッシュアップさせていきたいので、追加すべきものがあればコメント欄までよろしくお願いします。

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 あなたのプレイを劇的に向上させるいくつかのアドバイス

 多くの初心者の方々とプレイさせていただく中でこうやった方がいいのになあ、これはやらない方がいいのになあと思ったプレイがいくつかありましたので、まとめたいと思います。

(1)利益を最小化し損失を最大化するようなビッグベットはしない

 このようなプレイを何度も見ました。要は、自分が勝っているようなハンドにはフォールドされて、負けているハンドにしかコールされないようなベットです。

 例えば、ブラインド100-200でエフェクティブスタックが2万のときに、UTGのレイズ525に、88でオールイン2万をしたり、フロップ732でポットが3000のときに、AKでオールイン5万のベットをしたりすることです。
 最初の例では、88は、ドミネイトされるハンドは99〜AAの6種類しかないため十分に強く、フロップセットのインプライドオッズもあり十分バリューのあるハンドです。このハンドでリレイズオールインすることは、勝っているようなハンドにはやすやすとフォールドされる一方で、ドミネイトされるハンドにしか軽くコールされてしまうこととなるので、典型的なミスプレイと言えます。
 この場合、コールしてセットを引きに行くことも、合理的なサイズの3ベット(1300〜1600)をすることもできます。
 オールインするとすれば、フォールドエクイティを獲得するか、勝っている場合の利益を最大化するという理由が必要です。

  1. オールインじゃないとフォールドしてもらえないようなレンジのハンドがどれくらいあるか、
  2. 勝っている場合にコールしてもらえるようなレンジのハンドがどれくらいあるか

について考えなければなりません。いずれの場合もそのようなハンドはほとんどないことが分かるはずです。(せいぜい99〜JJでフォールドしてもらうか、AKでコールされるくらいでしょう。)

(2)フィットorフォールドしすぎ(ブラフが少なすぎ)

 プリフロップでレイズされ、マージナルなハンドでコールして、フロップでマッチすればチェックレイズ、マッチしなければフォールドというのが多く見られました。フロップでマッチするのはかなり大雑把に計算して3回に1回程度なので、マッチしたときにコール分の3倍以上の利益を上げられるようなポストフロップのスキルがなければ、コンティニュエーションベット(CB)のようなブラフに利益を奪われることになります。
 対応策としては、マージナルなハンドでのコールを避け、プリフロップでセミブラフの3ベットをしてリスチールをしたりイニシアティブを取るか、フロップでマッチしなかった場合でもブラフをするのがよいでしょう。
 トーナメント序盤でほとんどフロップにマッチすることはなくても、100%の頻度でCBを打つことで、たまにはチェックレイズされましたがそのときはさっさと降りて損失を最小化し、それ以外のときは勝つことで、小さなポットを大量に集め、ダブルアップすることなく、原点2倍くらいにチップを集めることができることが多いです。

(3)コーリングステーションへのブラフは厳禁

 ブラフは勝っているハンドをフォールドさせることによってポットを取るものです。よってマージナルなハンドでもフォールドできないコーリングステーションに対してブラフをすることは禁物です。大きなダメージを受けることになります。
 このような相手にはベストハンドができたときに大きくベットすることで利益を最大化することができます。(収奪的プレイ=exploitive play)

(4)ギャップコンセプトの理解

 ギャップコンセプトとは、レイズにコールするには自分からレイズをするよりも強いハンドを要する(コールハンドのレンジはレイズハンドのレンジよりずっと狭くすべき)という概念ですが、このレンジ差が小さすぎる人が多いです。もっと広いハンドでレイズし狭いハンドでコールしなければ、フォールドエクイティを自分のものにできないので、利益が失われることになります。

(5)スタックを意識したプレイ(特にSPR)

 スタックに応じたプレイ、スタックを意識したプレイを心がけましょう。
 自分の絶対的なスタック量を意識していない(自分が何点のチップを持っているか分からない)人は流石にいないでしょうが、相対的なスタックサイズ、すなわち何周で自然死するか(CSI)となると意識していない人も多少出てきます。ただ、ここまでは大半の人ができているでしょう。
 勝負に参加しているプレイヤーの中での最小スタックサイズである「エフェクティブスタック」については、意識していない人も多いです。セットやドローのオッズなどインプライドオッズの計算に不可欠なので、必ず意識しましょう。
 例えば、ポケットペアを持っている場合にフロップセット以上を引く可能性は11.76%(=8.5回に1回)なので、エフェクティブスタックの8.5分の1以上のベットにはコールできないこととなります。実際にはセット以上を引いた場合でも必ず相手のスタックをすべて奪う(かダブルアップできる)とは限らないので、11〜13倍のエフェクティブスタックがないと厳しいと思います。また、テーブル全員のエフェクティブスタックを常に意識している人はほとんどいないと思いますので意識するようにしましょう。

 さらに、自分のコミットプランを立てるのに必須の概念であるStack to Pot Ratio(SPR)については、やはりほとんどの人が意識していないように思いました。
 自分のスタックが4000のときに、自分から(残りスタックが1000となる)3000のベットをして、相手にオールイン要求をされてフォールドすることなど全く合理化できませんが、このようなプレイはよく見ます。ピュアブラフだからフォールドしたのかもしれませんが、それであれば、そもそもスタックの4分の3を費やしてブラフをする合理性が存在しません。
 ここまでは行かなくても、ベットをしてレイズをして、相手にオールイン要求をされて、コミットしてしまっている結果渋々コールしたり、コミットしているのにコールしなかったりする人も多かったです。
 このような状況に陥るのは、自分のスタックとポットサイズ、ベットサイズを比較して、「どれくらいの額のベットをしたら自分がコミットするか、どのくらいのレイズが相手から来れば相手がコミットすることとなるか」を常に意識していないためです。

 これを利用して、相手にコミットを迫るブラフを行ったり、自分はコミットしないけど相手はコミットするような状況で自由に意思決定を行うことができたりします。
 目安としては、エフェクティブスタックの10%のベット・レイズがあった場合には、次のレイズがラストブラフとなる(エフェクティブスタックの3分の1コミット)ので、10%のレイズをする場合は要注意です。
 また、自分がラストブラフをするためには、相手のレイズがエフェクティブスタックの10%になるようにベット額を調整する(具体的にはエフェクティブスタックの3〜4%にする)ことが重要です。

テキサスホールデムの基礎知識(3)

1−5 ギャップコンセプト・サンドイッチ効果・スクイーズプレイ

(1)ギャップコンセプト

 ポジションの力に起因する重要な概念として「ギャップコンセプト」と呼ばれる考え方があります。ギャップコンセプトとは、David Sklanskyによって提唱された概念で、すでにベットやレイズをしているプレイヤーを相手にする場合(コールするとき)には、自分からベットやレイズをするときよりもより強いハンドが必要となるという考え方のことです*1
 ギャップコンセプトは、先にベットして強いハンドを持っていることを主張しているプレイヤーと衝突は避けた方が無難であるというだけでなく、自分からベットをした場合には、(1)相手が(ベストハンドを)フォールドするか(2)ショーダウンで勝つという2通りの勝ち方があるにもかかわらず、コールする場合には、(2)のショーダウンで勝つ方法しかないということにも起因する考え方です。
 ポジションだけでなくギャップコンセプトによっても、一般的には、後ろのポジションに近付くにつれてより弱いハンドでも参加することができると言えることとなります。
 留意しなければならないのは、ギャップコンセプトにおける「ギャップ」、すなわち通常の場合のハンドの強さと先にレイザーがいる場合に必要とされるハンドの強さの「ギャップ」は、ブラインドに比してスタックが十分にあるトーナメントの序盤や何でもレイズするようなマニアックなプレイヤーに対しては、小さくなるという点です。Dan Harringtonは、レイザーが超アグレッシブなプレイヤーの場合には、そのポジションでもともとレイズできるようなハンドを持っている場合は、どんなハンドであってもリレイズし、同じように、そのポジションでリンプインできるようなハンドより少しだけ強いハンドの場合はコールすべきだとしています*2
 また同様に、ブラインドがスタックに比して大きくなるようなトーナメントの終盤やレイザーがタイトなプレイヤー場合には、「ギャップ」は大きくなることとなります。この場合には、レイザーに対しリレイズするためには、より強いハンドが必要となります。

(2)サンドイッチ効果とスクイーズプレイ

 ギャップ効果と関連する概念として、「サンドイッチ効果」というものがあります。この考え方は、自分よりあとにアクションするプレイヤーがいるときは、後ろのポジションにプレイヤーがいないときよりも強いハンドを持っていなければならないという考え方です*3。最終的に何人のプレイヤーが勝負に参加するか、リレイズにコールしなければならなくなるか分からないので、(後にプレイヤーがいる場合には)実際のポットオッズを計算することはできません。したがって、このような不確実な状況下で「割に合う」プレイをするためには、より強いハンドが必要となるというものです。
 サンドイッチ効果を活用したプレイのひとつに「スクイーズ(絞り取る)プレイ」とよばれるものがあります。例えば、アーリーポジションからレイズがあって、コーラーがいたとします。レイトポジションのプレイヤーがリレイズをした場合、もともとのレイザーは、より強いハンドを主張しているリレイザーと後ろに控えるコーラーとの間で「スクイーズ」される(絞られる)こととなります。仮にオリジナルレイザーがコールしたとして、コーラーが強いハンドでスロープレイしている場合には、さらにリリレイズされることもあり得ます。したがって、このような状況では、オリジナルレイザーは、プレイを続けるためには相当強いハンドを持っている必要があるので、普通はフォールドすることを選択することになります。このようにサンドイッチ効果を活用してレイザーをフォールドさせるプレイをスクイーズプレイと呼びます*4

(3)リスクイーズ

 スクイーズプレイについては、Harrington on Hold’emで紹介されて以来非常に一般的な戦術となっているので、ある特定の状況においては、これを活用して更に利益を最大化することも可能となります。例えば、非常にアグレッシブなプレイヤーが後ろにいる場合で、自分より前のプレイヤーがレイズしてきた場合、後ろのアグレッシブなプレイヤーにスクイーズプレイをさせるために、非常に強いハンド、例えばAAやKKでコールをし、後ろのプレイヤーがスクイーズプレイのためのリレイズをするのを待つこともできます。後ろのプレイヤーがリレイズしてきて前のプレイヤーがフォールドした場合、更にリレイズすることで、ハンドをプロテクトするとともに利益を最大化することも可能となるでしょう。

*1:David Sklansky, Tournament Poker for Advanced Players, Two Plus Two Publications (2001).

*2:Dan Harrington and Bill Robertie, Harrington on Hold'em: Expert Strategy For No-Limit Tournaments; Volume I: Strategic Play, Two Plus Two Publications, p190 (2004).

*3:同上p189.

*4:同上pp206-208.

テキサスホールデムの基礎知識(1)

Theory of Poker

 David Sklanskyは、1987年にその著書「The Theory of Poker」において、「ポーカーの基本理論」なる概念を提唱しました*1。ポーカーの基本理論とは、

  1. 自分が自分以外のプレイヤーのカードもすべて見ることができた場合と同じようにプレイできた場合には、その勝負に勝つことができ、また、
  2. 相手が自分以外のプレイヤーのカードもすべて見ることができた場合と違うプレイを、相手にさせることができれば、その勝負に勝つことができる、

というものです。
この理論は、発表されて20年以上も経ちますが、未だポーカー戦略の多くの基礎となっています。後述のブラフやスロープレイなどのテクニックは、2を実現するために行われるものです。

アウツ、オッズ、期待値

 ポーカーをプレイする上で重要な概念として、「アウト(アウツ)」、「オッズ」と「期待値」というものがあります。

(1)アウツ

 アウトとは、「自分の手を強くするカード(の枚数)」を指します。例えば、自分のハンドが54oで、フロップが63Xだった場合、ターンかリバーで7か2が来れば、ストレートを完成することができます。この場合、ストレートを完成させるために必要なカードの枚数は、8が4枚と2が4枚なので、4+4=8枚で、「8アウツ」あることになります。フロップが86Xだった場合には、ストレートを完成させるためには、4枚の7しかないため、この場合は「4アウツ」しかないことになります。
 また、自分のハンドが2枚ともハートで、フロップにハートが2枚出ている場合には、フラッシュを完成させるために必要なカードの枚数は、13枚のハートのカードのうち見えている4枚のハートを引いた9枚のカードが残っているため、「9アウツ」あることになります。
 アウツの概念がなぜ重要かというと、アウツの数によって自分の勝率を概算することができるためです。厳密に計算すると、先程の「オープンエンドストレートドロー」をターンで完成する確率は、 8/(52-5)≒17.0%、リバーまでで完成する確率は、1-(52-5-8)/(52-5)×(52-5-1-8)/(52-5-1)≒31.5%となります。したがって、フロップが開いた時点でオープンエンドストレートドローとなった場合には、ターンでストレートができるのは、5.9回に1回、リバーまで見れれば、3回に1回はストレートができることになるというのが分かります。

 アウツごとの確率は次のとおりです。
アウツ ターン(%) リバー(%) 代表的な例
20 42.6 67.5
19 40.4 65
18 38.3 62.4
17 36.2 59.8
16 34.0 57
15 31.9 54.1 オープンエンドストレートフラッシュドロー
14 29.8 51.2
13 27.7 48.1
12 25.5 45 インサイドストレートフラッシュドロー
11 23.4 41.7
10 21.3 38.4
9 19.1 35 フラッシュドロー
8 17.0 31.5 オープンエンドストレートドロー
7 14.9 27.8
6 12.8 24.1
5 10.6 20.4
4 8.5 16.5 インサイドストレートドロー
3 6.4 12.5 ペア
2 4.3 8.4 トリップス
1 2.1 4.3 フォーカード

 これらの数字についてすべて覚えるのは困難であり、かつ、その必要もないと思われますので、大体アウトの数の4倍がリバーまでにその手ができる確率と覚えるのが簡単な方法のひとつです。
(例:4アウツの場合は4×4=16%、9アウツの場合は9×4=36%など)

(2)オッズ

 アウツの概念とともに重要な概念として「オッズ」があります。オッズとは確率のことです。古くからギャンブルにおいては、確率のことをオッズと呼称し、自分の賭け金が勝率に照らして「割に合う」場合には、「オッズに合う」などと表現されてきました。
例えば、コイントスで表裏を当てたら賭け金を1.5倍にして返すというゲームがあった場合、このゲームをすることは合理的でしょうか。表か裏か当たる確率は1/2なのに、当たった場合でも賭け金は、1/2の逆数である2倍より少ない数しか返ってこず、長期的には必ず損をするようになっています。この場合、帰ってくる賭け金が2倍以上でなければ「割に合わない」ことになります。
 同じことがポーカーにも当てはまります。2アウツしかなく勝率8.4%しかないのに、フロップでポットの半分の額のベットをコールすることが「割に合う」でしょうか。ここで割に合うか合わないかを判断する際に非常に役に立つのが「オッズ」又は「ポットオッズ」という概念なのです。
 「ポットオッズ」とは、ポットの大きさとポットを得るための勝負を継続するために必要なベット額の大きさの比率のことを言います*2
 例えば、400ドルのポットで相手が100ドルベットしてきた場合、コールする場合のポットオッズは、1/6です。このとき、例えば、ターンの時点で8アウツのオープンエンドストレートドローがあって、ストレートができればポットを取れると考える場合、リバーでストレートができる確率は約16%で、約6分の1の確率でコールの6倍のリターンが得られるわけですから、この場合、コールすることは割に合うこととなります。同じように考えると、ポットが例えば100ドルしかなかった場合に相手が100ドルベットしてきた場合は、リターンが3倍しかないので若干割りに合わないということになります。
 オッズに関してもうひとつ有益な概念として、「インプライドオッズ(implied odds:推定オッズ)」というものがあります。インプライドオッズとは、現時点のポットの大きさではなく、勝負が終わった時点に予想されるポットの大きさを基に計算されるオッズのことです。例えば、自分がAハイフラッシュドローなどの強いドローハンドを持っていて、コールしてくるプレイヤーが大勢いるテーブルの場合、現時点のポットが80ドルでベットが100ドルだった場合、9アウツでターンでフラッシュを引ける確率は19.1%で、リターンが2.8倍のため、現時点では割に合いませんが、2人ほどコールしたり、またリバーまでコーラーが出てくると予想できる場合には、最終的に獲得できるポットのサイズが、500ドル以上に膨れ上がることが予想できます。その場合の最終的なポットの大きさを基に計算されるオッズのことをインプライドオッズといい、アグレッシブなプレイヤーは、現時点のポットオッズが合わなくてもインプライドオッズに合うと判断してコールすることもあるのです。ポットオッズと勝率の関係は、ポーカーの戦略の中でも最も重要な考え方のひとつです。
 インプライドオッズから派生した概念のひとつに「リバースインプライドオッズ(reverse implied odds)」というものがあります。これは、勝負が終わった時点に予想される損失を基に計算されるオッズのことで。例えば、7c2dを持っていてフロップ7h3s4sだった場合、フロップの時点では、トップペアで勝っているかもしれませんが、相手がベットしてきた場合、相手には更にハンドを向上されるアウツが多くあるにも関わらず、自分にはアウツがほとんどないため、推定される損失を基にオッズを減らす等の調整を行い、コールするか否かを決定するというものです。

(3)期待値

 「期待値(Expected Value(EV))」とは、賭けたチップに確率を掛けることで、最終的にどの程度の見返り(リターン)が得られるかを数値化したものです。例えば、勝率50%の勝負に100ドルの賭け金を賭ける場合には、50ドルの期待値があることになります。自分のベット・コールがオッズに合うかどうかを計算する際に必ず必要となる概念です。

*1:David Sklansky, The Theory of Poker, Two Plus Two Publications, pp17-18 (1987) 

*2:David Sklansky, The Theory _of Poker, Two Plus Two Publications (1987)