ポーカーの高速道路とけものみち

     自分の大好きなポーカーに関する戦略などを紹介



このブログについて

自分の大好きなポーカー(特にTexas Hold'em(テキサスホールデム))
というゲームに何か貢献ができないかと思い、ブログを始めました。    
ポーカーに関する戦略などを紹介していきたいと思います。         

第2章 ベッティングアクション(2)

2−2 アグレッション

(1)アグレッシブプレイの利点

 アグレッシブにベットすることは、コールやチェックにはない大きな利点があります。前述のとおり、コールやチェックしかしない場合には、ポットを獲得する方法は、ショーダウンの時点でベストハンドを持っていることしかありませんが、ベットの場合には、ショーダウンの時点でベストハンドを持っていることに加え、相手がフォールドすればその場でポットを獲得できるという2つの勝ち方があるのです。
 このことから、ポーカーにおいては、コールよりもベットやレイズをすることが推奨されます。ベット・レイズには、相手をフォールドさせることでポットを獲得することができるということを数学的に推計する考え方として「Fold Equity」という考え方があります。

(2)Fold Equity

 勝負に参加しているプレイヤーにはそれぞれポットについて正当な取り分というものが存在します。例えば、参加しているプレイヤーがそれぞれAKと99を持っている場合、AKのプレイヤーには40数%の勝率があり、99のプレイヤーには50数%の勝率があります。したがってこの時点での両者の「取り分」は、(ポット×勝率)で表すことができ、この取り分のことを「Equity」(Pot Equity)といいます。
 Pot Equityは、勝負に参加している限りにおいて各プレイヤーに保持され、ショーダウンの時点では、引き分けとならない限り、100% v. 0%となりますので、その割合に応じてポットが配分されることになります。
 ところで、勝負の途中でフォールドしてしまったプレイヤーのEquityはどうなるでしょうか。先ほどの例でいえば、ポットに参加している場合には、プリフロップの段階で99のプレイヤーには50数%のEquityがあります。しかしながら、AKのプレイヤーが99のプレイヤーのレイズに対してリレイズオールインをして99のプレイヤーがフォールドしてしまった場合には、この50数%のEquityは失われ、逆にAKのプレイヤーのEquityとなってしまいます。このようにプレイヤーがフォールドすることで移転するEquityのことを「Fold Equity」といいます。
 前述のとおり、相手の方が強いハンドを持っているときにフォールドさせるということは、ベットをする主要な理由のひとつです。この場合に得られるFold Equityは、Pot Equityやまたベストハンドを持っている場合のFold Equityと比べても相当大きなものとなります。配られるハンドをただ漫然とプレイするだけでは、勝つことよりも負けることの方が多くなります。相手の方がいいハンドを持っているにもかかわらずアグレッシブなベットによって、相手を屈服させフォールドさせることができたなら、本来マイナスであったEquityをプラスのEquityに転換させることが可能となるのです。Lee Nelsonは、Fold Equityを自分のものにすることがノーリミットホールデムトーナメントにおいて不可欠だとします。アグレッシブなプレイヤーがトーナメントで勝つことが多い理由の一つは、コンスタントにFold Equityを活用していることにあるとしています*1
 一般的に、ベットの額やレイズの額が大きい場合の方がポットが大きくなりEquityも大きくなるため、Fold Equityも大きくなります。また、相手の残りチップが少なくなれば少なくなるほど、相手がコミットしておりフォールドする可能性が低くなるため、Fold Equityは小さくなる傾向にあります。

(3)Fear Equity

 アグレッシブにプレイすることの利点として、コールでは得られないFold Equityが得られるだけでなく、「Fear Equity」と呼ばれるEquityも得られることが挙げられます。「Fear Equity」とは、アグレッシブにレイズやリレイズやときには序盤であってもオールインをしてくるようなプレイヤーに対しては、普通のプレイヤーは恐れを抱き、相手にするのを避けようとするのが一般的です。自分が参加している勝負に、ベストハンドを持っている相手が参加しなくなったり、本来ベットすべき状況でベットしなくなることによって得られるEquityがFear Equityです。Fear Equityはテーブルイメージと呼ばれる用語とほぼ同義ですが、Fold Equityと同様、常に自分の側で確保しておくことが重要とされます。
 Fear Equityを効果的に使うことで、テーブルをコントロールすることができます。テーブルコントロールによって多くのチップが集まれば集まるほど、その集まったチップがより強い武器となりFear Equityもより大きなものになるのです。

*1:Lee Nelson et al., Kill Everyone: Advanced Strategies for No-limit Hold 'em Poker Tournaments and Sit-n-go's, Huntington Press, p22 (2009).

第2章 ベッティングアクション

2−1 ベット・レイズ・チェック・コール

 ポーカーのアクションには、ベット、レイズ、コール(チェック)の3種類があります。

(1)ベット、レイズ

 ベットは、自分のハンドが勝っていると思う場合、ベットすればポットを取れる場合などに、利益を最大化するために行われるものです。
 レイズは、先に自らのハンドの強さを主張している相手のベットに対して、更にベットを重ねるものなので、一般的には、レイズの際には、ベットするときよりもより強いハンドが必要となります。DavidSklanskyは、Theory of Pokerにおいて、レイズする理由を次のように要約しています。

  1. ベストハンドを持っているプレイヤーがより多くのチップを獲得するため。
  2. ベストハンドを持っているプレイヤーが相手をフォールドさせるため。既に完成したハンドを持っている場合、レイズをすることでドローハンドを持っているプレイヤーをフォールドさせ、ハンドをプロテクトすることができます。
  3. ブラフやセミブラフをするため。弱いハンドやドローハンドでレイズをすることで、よりよいハンドを持っているプレイヤーをフォールドさせることもできます。セミブラフの場合には、コールされたとしてもドローハンドを完成させることでより大きなポットを獲得できる可能性もあります。
  4. フリーカードを得るため。ポジションがある場合に、ドローハンドでレイズをすることで、次のラウンドにおいて相手がチェックをする可能性が増し、ドローを完成させるためのフリーカードを更に得ることができるかもしれません。
  5. 情報を得るため。レイズにコールされた場合、相手のハンドの強さについて情報が得られます。コンティニューエーションベットや確認ベットをすることによって、相手がコールしたりレイズしてきた場合には、相手のハンドがある程度強いということが分かるのです。もちろんその場でポットを取れる可能性もあります。
  6. 2番目によいハンドを持っているプレイヤーが負けているハンドを持っているプレイヤーをフォールドさせるため。相手にドローを引かれて負けることを避けるためにレイズをすることもあります。
  7. ドローハンドでベットされた場合によりよいハンドをフォールドさせるため。明らかにドローハンドを持っているプレイヤーがベットした場合、そのあとでレイズされた場合には、他のプレイヤーやドローハンドを持っているプレイヤーはフォールドする可能性が高いです。

 また、Howard Ledererは、ベットの基本として、ベッティングするには理由がなければならず、その理由には、

  1. 自分がベストハンドを持っていると思っている、
  2. 自分がベストハンドを作れると思っている、
  3. 相手のベストハンドをフォールドさせることができると思っている、

といった理由がなければならないとしています*1
 自分がベストハンドを持っているときには、相手がコールできる最大限の額をベットすることで、利益を最大化することができます。自分が現在ベストハンドを持っていて、ドローが見えている場合には、ベットすることでドローハンドを持っている相手をフォールドさせて、その場でポットを獲得することができます。また、ドローハンドでコールすることがオッズに照らして適切とならないギリギリの額をベットすることで、相手に誤ったコールをさせることで利益の最大化を図ることもできるのです。

(2)コール

 一方コールについては、一般的には自らのハンドの弱さを示すアクションですが、概ね次のような理由から行うことが正当化されます。

  1. より多くのカードを見るため。ドローハンドを持っていてポットオッズが合う場合には、コールすることが最適な選択となります。フォールドした場合には、本来得られるべき利益(Equity)を諦めてしまうこととなります。
  2. 損失を限定するため。ポットオッズがあるが損失を被る可能性もある場合には、コールすることで発生するかもしれない損失を限定することができます。
  3. リレイズを避けるため。ポジションがある場合には、コールに留めておくことで、オリジナルベッターがリレイズするチャンスを奪うことができます。
  4. 自分のハンドの強さを隠すため。非常に強いハンドを持っている場合には、コールをすることで自分のハンドの強さを隠し、相手がより多くのチップをポットに入れることを容易にし、より大きなポットを獲得できる可能性もあります。
  5. ポットオッズをコントロールするため。コールすることで、相手がコールするに値するポットオッズを与えることができます。例えば、非常に強いハンドを持っているプレイヤーがコールすることで、後ろのプレイヤーが本来ならばすべきでないコールをしてポットが大きくなる可能性もあります。
  6. 後のベッティングラウンドでブラフをするため。先のベッティングラウンドでコールをして後のラウンドでブラフをする準備をすることもできます。このようなブラフについては、「フローティング」とも呼ばれます。

*1:Howard Lederer, Betting Basics, Full Tilt PokerAcademy; http://academy.fulltiltpoker.com/ja/lessons/video/17/

Kill Everyone: Advanced Strategies for No-limit Hold 'em Poker Tournaments and Sit-n-go's(2)


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最適なベットとブラフのサイズ

 直観に反した流行が最近のトーナメントポーカーで起こっており興味深いです。オールインベットが疑わしいものになってきているのです。ブラフではないかと疑われるのです。これは特にプロの間ではそうで、オールインベットより小さいベットの方がオールインよりもリスペクトを受けるといった現象が生じています。
 なぜでしょうか?プロはベットが小さくなればなるほど、ブラフよりも「コールして欲しいベット」だと思い、そのようにアクションするからです。このタイプの理屈付けはオンラインにも広がっており、中途半端なハンドでオールインにコールするプレイヤーもいます。多分Kill Philの影響も部分的にはあり、Fold equityを得るために頻繁にオールインをするオンラインプレイヤーが増える傾向にあるため、自分ができる一番強いベット(オールイン)が、弱いベットよりも頻繁にコールされることになるのです。

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Kill Everyone: Advanced Strategies for No-limit Hold 'em Poker Tournaments and Sit-n-go's(1)


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1 New School v. Old School

ルースアグレッシブ

 大規模なマルチテーブルトーナメントにおいてチップを集めることは、一つの芸術的技巧とも言え、様々なプレイヤーがこの偉業を達成すべく様々な方法を採用しています。古典派(Old School)のプレイヤーは、99、AQs、AK以上の大きな初手(トップ5%くらい)が来るのをじっと待ってタイトにプレイし、これらのハンドからできるだけ多くの利益を上げようとします。彼らは、自らのハンドの強さを特定するために、ベットやレイズを使います。アグレッシブなプレイがこのアプローチの特徴です。

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Daniel Negreanu's Small Ball(完)

 small ballの紹介もようやく終了です。

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 次は、これまでの集大成ともいえる"Kill Everyone"の紹介になります。