1−3 基本的なハンドの勝率
オッズの計算に際して、ヘッズアップ時における基本的なハンドの勝率を覚えておくと有用です。代表的なものは次のとおりです。
ハイペア v. スモールペア → 大体80%:20%
例: AA v.33
ポケットペア v. ツーオーバー → 大体5X%:4X%
例:99v.AK
ポケットペア v. ツーアンダー → 大体85%:15%
例:KKv.75
ポケットペア v. ワンオーバー → 大体70%:30%
例:99v.A7
ポケットペア v. 低いスーティッドコネクター → 大体77%:23%
例:QQv.76s
ポケットペア v. オフスートコネクター → 大体80%:20%
例:JJv.76o
ポケットペア v. 高いスーティッドコネクター → ほぼ五分五分
例:66v.JTs
ポケットペア v. 高いコネクター → 大体55%:45%
例:66v.JTo
ツーオーバー v. 低いコネクター → 大体60%:40%
例:AKv.98o
ワンオーバー v. ゴミ手 → 大体60%:40%
例:A3v.T2
ドミネイトしているハンド v. ドミネイトされているハンド → 大体70%:20%
例:AKv.AT
ドミネイトしているハイペアv. ドミネイトされているハンド → 大体88%:12%
例:AAv.AK
1−4 ポジション
ポーカーでよく使われる格言の一つに「Position is Power.(ポジションは力なり)」というものがあります。「ポジション」とは、テーブル上の各プレイヤーの座席の位置のことを言いますが、一番最初にアクションをしなければならないボタンの次の位置から始まる最初の3席(スモールブラインド:SB→ビッグブラインド:BB→アンダーザガン:UTG)をアーリーポジションといい、次の3つをミドルポジション(MP)、最後の3〜4つをレイトポジションといい、一番最後にアクションするプレイヤーのポジションを(ディーラー)ボタンといいます。また、ボタンの一つ前のポジションはカットオフ(CO)と呼ばれ、その前のポジションはハイジャック(HJ)と呼ばれます。
ポーカーは不完全情報ゲームなので、情報をより多く得たプレイヤーの方が有利になるという特徴があります。したがって、原則として、相手のアクションを見てから自分のアクションを決められる後ろのポジションに位置するプレイヤーの方が、アーリーポジションのプレイヤーよりも有利になることになります。
ポジションの重要性は、トーナメントポーカーをプレイする上で理解しなければならない最も重要な知識の一つです。ポジションがよくなると、プレイできるハンドの範囲が広がるだけでなく、後述の利益の最大化、損失の最小化、ポットコントロールが容易になるという利点もあるのです。一方、ポジションが悪くなるにつれて、プレイできるハンドの範囲が狭まるだけでなく、ハンドから本来得られるはずの利益を確保することが難しくなります。利益の最大化が困難になるだけでなく、損失の最小化も困難になるのです。このことが多くのプロがポジションの重要性を訴える理由なのです。
例えば、Full TiltポーカープロのBill Edlerは、ポジションが“力”となる理由として、
- アーリーポジションでは、レイトポジションではフォールドしないようなベストハンドを持っているのにフォールドしてしまう可能性があること、
- レイトポジションでは、同じハンドでもアーリーポジションにいる場合と比較して、より多くの利益を上げることができること、
- 負けているハンドを持っているとき、レイトポジションでは、損失をより少なくすることができること、
の3つを挙げています*1。
ポジションには、「相対的ポジション」というものも存在します。上記のポジションは、ディーラーボタンを起点とした「絶対的ポジション」を意味しますが、例えば、前のベッティングラウンドでベットやレイズしたプレイヤーがおり、そのプレイヤー(オリジナルレイザー)が次のラウンドでもベットすることが明らかな場合には、オリジナルレイザーの次のプレイヤーが実質的に最初にアクションを行うこととなりアーリーポジションのプレイヤーと同じこととなります。そのようなプレイヤーは、たとえボタンにいたとしても、情報が一番少ない状況でプレイをしなければならなくなり、他方、オリジナルレイザーから離れたプレイヤー(オリジナルレイザーの左側のプレイヤー)がレイトポジションのプレイヤーと同様に、すべての情報を入手してからアクションを行うことができる利点を有することとなります。
*1:Bill Edler, Power of Position, Full Tilt Poker Academy; http://academy.fulltiltpoker.com/ja/lessons/video