3−5 Small ball
「スモールボール」と呼ばれるプレイスタイルがあります。「スモールボール」とは、伝統的なタイトアグレッシブなプレイヤーが参加する回数を絞って参加する際には大きくベットして確実に勝つことを目指すのと対照的に、1回のベットの額を小さくするとともに参加やベットの回数を多くし、フロップ後のアクションやリーディングで相手を圧倒することにより、小さなポットを多く獲得することで多くのチップを集めようとするプレイスタイルです。
スモールボールを採用した場合の標準的なプリフロップのレイズ額は2.5BBです。Daniel Negreanuは、スモールボールによって、より少ないチップで多くのアクションを行うことが可能となり、少ない投資で大きなハンドを完成させる可能性が得られるだけでなく、そのような大きなハンドを完成させたりAAなどが来た際に、相手に気付かれにくくなるため大きな利益を上げられる可能性があることを利点として挙げています*1。
また、レイズ額が小さいために相手がコールしやすくなるため、より弱いハンドで相手が参加するだけでなく、熟練者にとっては、勝負の機会が増えることで、フロップ後のアクションで相手を圧倒し、小さなポットを多く獲得するだけでなく、ときには大きなハンドを完成させてそれに見合う大きな利益を得られるチャンスも増えることとなります。
さらに、スモールボールによってポットが小さくなるため、トーナメントから退出するリスクが抑えられる効果もあります。熟練者にとっては、トーナメントにおいてじゃんけんをするメリットがないため、ポットが小さく抑えられることは非常に重要なこととなります。
このように、スモールボールは、熟練者が小さな投資をすることで多くのアクションを行うことを可能とし、じゃんけん勝負ではなくフロップ後のアクションで相手を圧倒するためのプレイスタイルなので、熟練者でないプレイヤーが採用した場合、アクションが多くなることで損失が拡大する可能性もあることに注意が必要となります。
*1:Power Hold’em Strategy, pp307-308.